先日、妙なことに疑問をいだきました。
事故で自動車のガラスが、割れている光景を見たときです。
自動車のガラスって、割れると粉々に砕けますよね。
刺さって怪我をするような、割れ方ではなく。
いつも粉々に、砕け散っていますよね。
あの割れ方は安全を考慮して、わざと粉々になる細工がされているのでしょうか?
それとも自動車ガラスの性質上、粉々に砕ける割れ方になるのでしょうか?
安全を考慮するなら、学校等のガラスも粉々に割れたほうが安全なのでは?
それはそれで、困るか・・・(汗)。
気になりましたので、自動車ガラスの特徴ついて調べてみました。
すると
- サイドガラス、リアガラスは粉々に砕け散る
- フロントガラスは砕け散ることはない
上記のことが判明。
詳しく紹介します。
自動車ガラスが粉々に砕ける割れ方は強化ガラスの特性

自動車に使用されているガラスは、
フロントガラス以外は、強化ガラスを使用しています。
フロントガラスについては、後ほど説明します。
強化ガラスは製造の工程上、嫌でも粉々に砕ける割れ方になるのです。
強化ガラスとは
そもそも、強化ガラスとは何なのか。
強化ガラスは通常のガラス(フロートガラス)に熱処理(650〜700℃)を加えて、冷風をかけて急激に表面を冷すことにより完成します。
熱処理後に急冷することにより、表面に圧縮応力をもたせます。
ガラス内部では、それに抵抗する引張応力が発生。
外部、内部の均衡バランスを取らせることで、ガラス表面の強度が増すのです。
その強度は通常ガラスの3〜5倍。
そして割れるときは、内部と外部のバランスが崩されたとき。
強化ガラスは内部と外部の均衡バランスが崩れると、ガラス全体が一瞬にして粉々に砕け散ってしまうのです。
つまり
粉々に砕けることは安全のためではなく、強化ガラスの特性なのです。
結果的に、強化ガラスは安全な割れ方になるメリットが生まれたってわけです。
強化ガラスのデメリット
強くて安全な割れ方なら、みんな強化ガラスにしてしまえばいいのでは?と思いがちですが、大きなデメリットがあります。
強化ガラスのデメリットは、防犯性。
強化ガラスは割ってしまえば、ガラス全体が粉々に砕け散ってしまいます。
そのため泥棒サイドからすれば、怪我せず安全にゆったりと侵入できます。
泥棒だって、ガラスで怪我するリスクは避けたいですからね。
フロントガラスは強化ガラスではなく砕け散らない【合わせガラス】

自動車のフロントガラスは【合わせガラス】と呼ばれる特殊なガラスを使用としています。
サイドガラスやリアガラスのような、強化ガラスではないのです。
1982年(昭和62年)に法律で決められていますので、現代の自動車フロントガラスは、全て合わせガラスです。
合わせガラスとは何?
合わせガラスとは
外側と内側の2枚のガラスの間に、中間膜と呼ばれる特殊な樹脂フィルムを挟んで張り合わせたガラス。
衝撃で割れても、ヒビが入るのみです。
強化ガラスのように砕け散ることはありませんし、普通のガラスのように危険なケガをする割れ方もしません。
フロントガラスが飛散しない理由は、中間膜が衝撃を吸収してくれるからです。
中間膜にガラスが張り付いているため、割れたガラスが飛散しなません。
つまり、事故で道路に粉々になっているガラスは、フロントガラス以外のガラスってことになります。
なぜ全面をあわせガラスにしないのか

合わせガラスは、人の力では砕くことがほぼ不可能です。
全面を合わせガラスにしない理由は、
水没などガラスを割って車外に逃げださなければならない事態に、脱出を可能にするため。
水没してしまうと、水圧でドアをあけることはほぼ不可能です。
水没して脱出するときは、フロントガラスではなくサイドガラスを割りましょう。
頑張っても、フロントガラスは割れませんよ。
水没なんて想像したくないですが・・・(汗)。
自分の車にガラスを割るための脱出用ハンマーが装備されているか確認しましょう。
いざとなった時にその工具がないと、ガラスを割って脱出できませんので。
まとめ、感想
フロントガラスが飛び散らない構造になっていることは、知りませんでした。
しかもガラス+フィルム+ガラスの3重構造になっているとは。
確かにフロントガラスが強化ガラスだったら、飛び石でキズが付いた時点で砕け散ってしまいますからね。
割れても飛散しないフロントガラス。
割れても怪我しないよう砕け散る、サイドガラスとリアガラス。
自動車ガラスの安全性は、考え抜かれてました。
これで疑問がスッキリ解決しました。